乳頭腺管癌 papillo-tubular carcinoma





病理組織学的特徴
 浸潤癌のなかで,乳管内進展を主とする癌であり,乳管腔あるいは癌腺腔に向
かう乳頭状の突起を特徴とする.乳頭腺管癌のなかには,いわゆる乳頭管状癌の
他に,乳頭癌,低乳頭癌,面皰癌が含まれる.
 乳頭腺管癌のなかで最も多くの頻度を占める乳頭管状癌(上写真)は,
間質を伴わない癌細胞の乳頭状突出,腺腔形成を特徴としており,腺管が密にな
ると篩状構造 cribriform patternをとる.細胞は円柱状ないし立方状で核異型
は比較的少ないが,細胞の大小不同,細胞索の癒合(back to back)の所見は診
断の助けとなる.
 乳頭癌は血管,結合織を伴った乳頭構造が内腔に突出するが,筋上皮
を伴わず,癌細胞は核優位の高円柱上皮よりなり,ときとして分泌傾向を示す.
乳頭癌は一般的に浸潤の程度も軽度であり,きわめて良好な予後を示すことから
WHOの分類では特殊型のなかに独立させている.
 低乳頭癌は拡大した腺腔を形成し,筋上皮を伴わない上皮細胞のみの乳
頭状突出や橋渡し構造が特徴である.癌細胞は核優位の丈の低い立方形である.
 面皰癌は癌胞巣の中心に壊死物質がつまっており,割面でも黄灰色の面
皰様小壊死巣が認められる.癌細胞は比較的大型で基底から内腔まで数層重なり,
ときとして扁平上皮様の傾向が見られる.壊死巣にはしばしば石灰化を伴う.
 篩状型を示すものでは特殊型の1つである腺様嚢胞癌との鑑別を必要とするが,
篩状型では癌細胞が篩の目に向かって極性を示している点が特徴的である.